やさしい眼差しが好きだった。 お守りも、櫛も、彼から貰ったものは何もかもが宝物だった。大切に、大切に持っている。向けられた言葉も微笑みも、照れたような顔も、心配する表情も、真剣な目も、ひたむきな背中も。すべてを愛おしく思う。指先を絡めて、ぎこちなく約束したことが、今では遠い昔のことのようだった。 きっと、もう触れることすらできない。 あきこ、と自分を呼ぶ声が、ずっと耳に残っている。 (大丈夫、) 思い出すだけで、強くなれる。 離れていても、ずっと、彼女と、彼女の愛おしいひとたちを、守ると約束してくれた。 それを、彰子はずっと信じている。だから、大丈夫。こんなに穏やかに微笑んでいられる。 昌浩。 「もう、阿倍邸には帰りません」 ーーーーああ、でも。 この感情の名を、彰子は知っているのだ。 く、暗い……! でも最新刊で何やらさらに昌彰離ればなれになりそうであわわわわ。彰子、どんな気持ちで言ったんだろう(;△;) |